私の前で
ありのままの自分を
さらけ出すコトを
いとわない『彼』。


顔色を窺うコトもしない。

私を自由に解放してくれる。


そんな『彼』には
何もかもさらけだせた。


こんなコトをしたら
嫌われるとか

思惑など
ふたりの間にはなかったから
ただ自然にふるまえた。

気も遣わず
遣われず。

ただ快感を
貪りあえばよかった。

先のコトは考えない。
相手のコトは気にならない。

無責任で
自分勝手なカンケイだった。


高1と高3と
クラスメイトだったと言うのに

名前と顔が
一致すらしなかったくらい
印象の薄かった『彼』。


可もなく不可もなく
目立つコトもしない。

背は高くもなく
低くもない。

どちらかというと
貧相なカラダつきに
見えていた。

声もちいさめで

「はあ」とか
「さあ」とかしか
しゃべらない。

口下手なのか
恥ずかしがり屋なのか

ヒトをナメているのか。


クールすぎる…。


そもそも
横に眠っている
『彼』の顔を見て

初めてその美形ぶりに
気づいたぐらいで。

私は本当に
『彼』の容姿にすら
興味がなかった。

手を繋いで
いっしょに街を
歩くワケでもない。

誰に紹介するでもなし。


『彼』は
私を解放してくれる存在に
すぎなかったから

それまでじっくり
顔を見るコトなんてなかった。