スカートを上げて
ごそごそと下着をつける。

顔から火が出そうだ。


そんな私を鼻で笑いながら

『彼』は私の音楽ノートに
走り書きをしている。



「雰囲気に流される
タイプなのな」

図星された。


「自分の意思が弱くて

強く出られると
受け入れちゃう」


走り書きしたノートを
私に突き返して


「…本当に
変わってないのな。

スキだらけでさ」


それとも

「…俺のコト
可哀想だとでも思ったの?」


「え?」

「今日のコトを
ふたりだけのヒメゴトに
しておくのかどうかは

そっちの心がけ次第だ」


「…脅してるの?」

「さあ、ね」


そう言い残すと

『彼』は一度も
振り返るコトもなく

音楽室を出て行った。


「…何よ!
自己陶酔しちゃって!」

悔しくって涙が出た。


ノートには
女体の落書きがひとつ。

そして

「そっちの心がけ次第だ」

『彼』のセリフが
本気であるコトを示すように

そこには

ホテルのティーラウンジ名と
日時が

指定してあった。