「気分転換したかったし〜。

彼氏も連れてって
いいんだよね?」


「ヒメも着物
きっと似合うよ〜♪」


いつのまにか

当然のように
私の参加が決まっていて。


押しに弱いこの性格。

もう懲りたハズだったのに。


『彼』とのカンケイは

私を何も
変えてはくれなかった。


「いい出逢いあるかも
しんないよ♪」

それは
彼氏持ちのユッキの
余裕のセリフで。


失恋の痛みを消してくれるのは
次の恋、とはよく言うけれど。


本当に

そんな都合よく
忘れるなんて
出来るのだろうか。


『彼』への気持ちが
MAXになって

さあこれからという
タイミングで
全てを無くした私にも
当てはまるのか。


私は未だ
あの恋に未練たらたらで。


どうして
突然フラれたのかも
わからない。


あの日、確かに
『彼』の様子は変だった。

なのに
その気持ちを
知ろうともしないで

自分の欲望のまま
動いた私は

思いやりのないヤツだと
見限られてしまったのか。


…今となっては
想像でしかないけれど。


『彼』はあの日以来
学校には来なくなって
しまっていたし

私は『彼』の連絡先も
知らない。


知っていたとしても
事実と向き合うのが怖くて

きっと勇気を
出せないだろう。


もう自己否定は
充分してきた。

これ以上誰かに
自分の弱さや不手際を
指摘されようモノなら

私はきっと立ち直れない。


私はすっかり恋に対して
臆病になっていた。