友達のお兄さん。

親友のオススメ。

安心。安全。やすらか。


駅前で待ち合わせて

おひさまの下を
ふたりで歩く。

ごくフツウの標準的な
当たり前のデートの
パターンだ。


桝席という特別席に
ふたりで座る。


入り口でお土産まで
貰ったもんだから
席はキツキツだ。


なれない正座に
足が悲鳴をあげている。


ジュンニイがいろいろ
相撲の面白い話を
しまくっていたみたいだけど

あまりの痺れに
アタマの中を
素通りしていった。


足をくずせない。

ワンピースなんか
着てくるんじゃなかった。


つん!

「ぎょえええええ
〜〜〜〜!!!!!」


ふいに足を突かれた。


「痺れきらすの
ちょい早すぎだよ」


私の失態に
大笑いするこのオトコ。


「何か飲みにいこうかと
思うんだけど」


私を残して
ひとりで席を離れようとして。


「待って!」

ジュンニイの
ジャケットの裾を
慌てて掴む。


「連れ出して欲しい?」

「欲しい!!」

「お願いしますは?」


ヒトの弱みに
つけ込んで…!!!


「…がいします」


「え?」

ジュンニイは笑いながら

聞こえない、って
ジェスチャーしてて。


悔しかったけれど

「…お願いします!」


「よろしい!」

そう言ったかと思うと

ジュンニイは

私を自分の肩の上に
軽々と担ぐ。


「え、ちょっと、待って、あ」