「ここの店長とは
趣味が合わなくてさ」


私のココロを
見透かしたかのように

ジュンニイは言い訳した。


「クライアントの意向と
時流のすり合せ作業」

それが
自分の仕事だと笑う。


空間プロデューサーって

インテリア・デザイナーと
どこが違うんだろう。

怪しい職業だ…。


ジュンニイは
ひとりでよくしゃべる。


こうしてじっくり
あらためて見ると

ジュンジュンに似てるなあ。


何だか
親しみを感じる。


「ヒメちゃんてさあ」

「え?」

「ホントは相撲
興味ないでしょ」

突然、図星された。


「うん。実は全然興味ない」

何故だか
キッパリと言い切れた。


ジュンニイって
ヒトを正直にさせる
不思議な雰囲気がある。


「実は俺も」

「ウソ!
桝席であれだけ
相撲の話を…」


「一夜漬けで覚えました」

ジュンニイは
いたずらっ子のように
ニヤリと笑って。


「ね。俺達つき合わない?」


…聞き違いでは
なかったのは

ジュンニイの
硬い表情でわかった。


でも
あまりにも唐突すぎる。


「冗談ばっかり」


私は思わず
笑って誤魔化してしまった。


「俺、こういう冗談は
ときどきしか言わないよ」

「言ってるじゃない!」


ジュンニイのボケに
ツッコミを入れたつもり
だったのに。


ジュンニイは
黙り込んでしまって


「…出よっか」

席を立った。


え。


だって…!