「…具体的なパーツに
惚れたワケじゃないから」


ジュンニイはそう
自信なげに微笑んで

私の手を強く握る。


「振りほどいてくれても
いいよ」


ジュンニイは
握っていた手を
自分の顔の傍に寄せて


「俺、こういう
マジな場面って苦手だから

2回は言えない」


私を見ていた視線は
力なく下に落ちた。


「だから
誤魔化さないで答えて欲しい」


その手はあたたかくて

力強くて。


まるで
魔法にでも掛ったように

「…うん」


握り返さずには
いられなかった。


「ホントッ!?」

ジュンニイが
真っ赤になった顔を上げる。


その顔が
何とも言えずかわいくて


「よろしくお願いします」

「おっしゃあああああ!!」


つい
受け入れてしまった。



何だかすっかり
ジュンニイのペースだったけど


それが
心地よく思えるから
不思議だ。


ジュンニイは
私の指を深く組み替えて


「行こう!
大一番が始まる」


満面の笑顔で駆け出した。