長かった夏休みの1ヶ月間が
ウソのようだ。


辛かった夏休み。

バイトも色々入れてみた。


ジュンジュンの
部活の手伝いに行ったり。

ママとショッピングしたり。

パパにお弁当作ったり。

大掃除して。

庭も大改造したりして。


『彼』のコトを
思い出す暇もないくらい
毎日体力を使い果たして

泥のように眠る毎日
だったのに。


ジュンニイとふたり

こうしてカフェで
お茶したりしてるなんて


あの頃にはこんな光景
想像もできなかった。


「大相撲の桝席って
高いんでしょ?」

「あ、ああ。あれね」

「やっぱり自分の分、払う」

ジュンニイには
遠慮なくモノを言える。


「知り合いに
安く譲って貰ったから」

ジュンニイは
目の前のケーキを
頬張りながら笑顔で答えた。


「でも、金欠なんじゃあ」


「ったく。

何を吹き込んでるんだ。
あの妹は〜」


ジュンニイは笑って
私の財布を覗き込んできて


「桝席って
これ5枚はいるんだぞ」

1万円札を
ひっこ抜いてみせる。


「ウソ!?」

「うっそ」


からかったり

からかわれたり


「ヒメのケーキも
美味そうだよな」

「食べる?」

「ヒメのおごりで
1ホールまるごと
頼んでもいい?」

「絶対食べきってよね〜」


ジュンニイといると
ホントに楽しい。


自然に笑顔になってしまう。