そうしてバイトの日は
やってきて。


「スゴイですね〜」

4WDの高級外車を
めでながら
溜息をついているのは

ユッキの彼氏だ。


「指紋べたべたつけちゃ
ダメじゃない!」

ユッキが
彼氏をたしなめる。


ユッキの彼氏に会うのは
今日で3回目。

高1と高2のウチの文化祭に
遊びに来ていた。


メガネをかけてて
真面目そう。

いかにも
最高学府の学生ってカンジだ。


でも
ふくよかなトコロが
いいヒトそうで
親しみやすい。


私達より1コ歳上。

図書館で出逢ったそうだ。


借りたい本が被って
譲りあったのがキッカケ。


ユッキも当然のように
彼氏の通う大学を
受験すると頑張っている。


ふたりして将来の目標は
国際弁護士になるコト。


エスカレーター式に
学校推薦で
大学に進学しようとしている
私とは

出来が違いすぎる。


車をハンカチで拭く様なんか
姉さま女房って感じで。


ユッキにアタマを
下げさせられてる様子に

「あいかわらず
尻に敷かれとるね〜」


ジュンジュンがそっと
耳打ちしてきた。


「おし! 搬入完了!」

車のトランクを閉めて
みんなを車に乗るように
促したのは

ジュンニイだ。


アゴヒゲに派手なシャツ。

ジーンズがいい感じで
くたびれてる。


腰からチェーンを
ジャラつかせてるトコロが
ちょっとチャラいけど

いかにも
業界人ってカンジだ。