「で、はい、お土産!」
北海道はでっかいどう!
…って。
木彫りの熊。
本当に売ってるんだ。
買ってるヒト
初めて見た。
「開けてみて」
「?」
よく見ると
熊の背中に
扉がついていて。
「あ…」
中には指輪が入っていた。
「サイズは勘だから」
ウソ…。
これって、これって…。
リアクションに困る
私にかまわず
ジュンニイは
私の左手の薬指に
それをハメた。
…ぴったりだった。
「運命だね」
私の左手を両手で覆って
「神様も俺達を
後押ししてくれている」
キザなセリフに
あろうコトか
クラっときてしまっている
自分が恥ずかしい。
でも
「案外太い指だったね」は
「ひと言多い!」
思わず
そのアタマに
ツッコミを入れてしまって
ジュンニイの顔面が
正面のケーキの中に
…沈む。
「ごッ、ごめんなさい!!!」
慌ててナプキンで
ジュンニイの顔を
拭こうとして
テーブルの上のモノが
一斉に大移動して!
ガッシャーン!
…手にしていたのは
テーブルクロスだと
気づいても遅かった。
「おまえ、なあ〜」
ジュンニイが
生クリームだらけの顔で
爆笑する。
つき合うのが
運命だったのか。
その指輪は
私の指にそのまま自然と
納まってしまった。