ママが運んできてくれた
ホットミルクを飲みながら

ユッキはずっと
黙ったままで。


こういうとき
何て切り出せばいいんだろう。


長い時間、沈黙が続いて

ユッキがようやく
口を開いた。


「セフレって知ってる?」

飲んでいたホットミルクが
気管に入った。

むせる私を気にもせず
ユッキは話し続ける。


セフレ。

セックス・フレンド。


「カラダ目的の
つき合いなんかして

恥ずかしくは
ないんだろうか」


…動揺した。

まさか私の話、とか?


アタマの中がパニックする。

まさか。

まさか。


まさか…!!!!!


「あのバカ
キャンパスのオンナと
浮気しててさ」

「えッ」


あ…。

ユッキの彼氏の話…。


緊張から
イッキに解放されて

「何がおかしいのよ!」
「え、いや」

思わず安堵の笑みが
こぼれてしまっていた。


ユッキの話によると

今日は塾の模試があって
デートの約束ができなくて。

なのに

模試の帰りに偶然

ファッションホテルから
オンナと連れだって出てくる
彼氏と

鉢合わせして
しまったという。

「で、問い詰めたら」

去年のイブも同じオンナと
ホテルに行ってたらしくって


「セフレとの年中行事
みたいなモノだから」


そう開き直られたという。


「……」

セフレって嫌なコトバだ。