「ヒメが行方不明に
なったときに
いっしょに発見された
少年だよ」
「小4の夏、8月10日」
「君に初めて逢った日」
『彼』が口にしていた
その日は
まさに
私が行方不明になった
あの日だった。
ジュンジュンは
『彼』と幼なじみで
私は『彼』と
行方不明騒動で
繋がった。
ジュンジュンが
私の記憶力のなさを
いつもチクチクと
指摘し続けていたのは…。
いったいあの日
何があったと言うのか。
ジュンジュンに聞いたら
教えてくれるだろうか。
…いや、ダメだ。
怖すぎる。
聞いてはいけない気がする。
逆に私のコトを
突っ込まれでもしたら
誤魔化しきれる
自信などない。
「…何か気になるな」
「え?」
ジュンニイは
真相を確かめようと
言い出して
「この時間なら
妹がバイトへ行く前に
掴まえられるから」
ジュンニイが
エレベーターのボタンを
押した。
「…バイト?」
「秋頃から始めた
らしいんだけどね」
「…知らなかった」
「ウソ?」
忙しい、忙しいとは
よく口にしていたけど
大学のチア部の練習に
参加させて貰っているから
だとばかり思っていた。