玄関先で
出かけようとしていた
ジュンジュンを掴まえた。
ジュンニイの口から
『彼』の名前が出てきて
ジュンジュンの
顔色が変わる。
「……」
私はジュンジュンに
見つめられて
私の方がその瞳に
尋問されているような
錯覚を覚えた。
「急いでるから」
ジュンジュンは
ジュンニイの手を振りほどいて
玄関のドアに手をかける。
「ヒメ。私達、親友だよね」
「え?」
ジュンジュンは振りむきもせず
「後でメールするから」
そう追加して
ジュンニイの制止を
振り切って駆け出していく。
「アイツ…」
ジュンニイが舌打ちをした。
「…後でメールくれるって
言ってたし。
急いでただけじゃないのかな」
「ヒメは…!
…もういいッ!」
ジュンニイがますます
不機嫌になった。
だって。
ジュンジュンの口から
真相を聞くのが恐かった。
万が一にでも
ジュンニイに
『彼』とのカンケイを
不審がられでもしたらって
この場から
逃げ出したかったのは
私の方だったから。
「はああああああ」
ジュンニイは
おおきな溜息をついて
「…せっかく来たんだから
コーヒーでもどう?」
私の背中を押した。