「大丈夫。
この時間は誰もいないから」


それって

遠慮はいらないって
意味だよね。

深い意味はないよね。


「そうだ。

よかったら
『彼』の絵の切り抜きとか
覗いていかない?」


ジュンニイは
ジュンジュンの部屋の
ドアを開けて手招きする。

「…留守中に無断で
入ったりしたら」

「かまわないよ。
いつもドア開けっぱだし」


ジュンニイに促され

ドア越しに部屋の中を
覗いてみた。


オシャレな部屋。

天井からいろんなモノが
釣り下がっていて

ちょっとしたお店みたいだ。

小学生のときに
遊びにきていた頃とは

全然違っている。


私の知らない

親友の世界。

「ほら、これ」

ジュンニイが
壁にかかっている絵を叩く。


「『彼』の絵の
雑誌の切り抜きを
スキャンして
自分で作ったらしい」


その絵達は実に
その部屋にマッチしていて。


「…絵に合わせて
部屋を
コーディネイトしてるみたい」

「センスあるんだよな」


たくさんの画壇情報誌が
本棚に並んでいる。


一番古いので
私達が高1の春のモノだ。

付箋がついているのは
『彼』の作品が載っている
ページなんだろうか。

DVDとか
一般紙とか

本当にたくさん揃っていた。


「…なあ。
『彼』って学校じゃ
どんなカンジ?」


ジュンニイの質問に
カラダが強張る。


「…今、学校来てないみたい」


心臓が爆発しそうだ。


「じゃ、『彼』と妹が
つき合ってるとかって線は
ないワケだ」


あ…。

ジュンジュンとの仲を
疑ってたんだ。


ほおおおおお。

胸を撫でおろす。