恐ろしい質問に
パニックする私を放置して
ユッキは続けた。
「…私も悪かったんだけどね」
受験勉強にかまけて
デートも疎かになってたと
ユッキは反省してみせる。
どうやらジュンニイの
着物のバイトも
彼氏の怪しい数々の行動への
牽制だったようで
「たまには女らしく
綺麗にした自分を
さりげなくアピールしたくて」
バイトにかこつけて
頑張ってたんだ。
浮気しそうにないから
なんて
ツッパっては
いるけれど
ホントは
大好きだったんだね。
ユッキは
自分のヒザに顔を埋めて
肩を震わせ始める。
そんな風に
泣かれると…。
情けないコトに
こんなとき
気の利いたセリフのひとつも
思い浮かばない。
いつも助けて貰っているのに
こんなふがいない親友で
ごめん。
ユッキのアタマを
そっと撫でた。
「もう遅いから
泊まっていけば?」
今夜はユッキの話に
とことんつきあおうと
腹を決めた。
誰かを自分の部屋に
泊めるなんて
小学生のとき以来だ。
ベッドの横に布団を敷いて。
「ヒメ、マクラは
低い方がいいんだけれど。
アタマに血が
回らなくなるから」
なんて
あまりにユッキらしい注文に
思わず笑ってしまった。
「何、おかしいのよ〜」
って言いつつ
ユッキの顔も笑ってて。
私が貸した
テディベア柄のパジャマが
全然似合ってないと
ユッキが自分で自分に
ツッコんで大ウケしている。