やっとユッキらしく
なってきたね。
窓辺にあった木彫りの熊を
目ざとく見つけて
私をからかう。
「ヒメはお泊りデートじゃ
なかったんだ?」
「…今日は我が家で
ジュンニイとパパとママ
4人で初めて食事したんだ」
こういうときに
こういう話題って
どうなんだろうとは
思ったけれど
ちょっとした沈黙が
やっぱり息苦しい。
「そっか。
でも、いつまでも
お預けを食わしてたら
私みたいに浮気されちゃうぞ」
って。
何て自虐的な…。
「もしかして
ジュンイチさんとは
すでにヤッちゃってるとか?」
「!!!!!!!!」
思わず赤面だ。
ユッキって
こんなキャラだったっけ。
「ねえ!
どうなのよ!?」
「…今日
初めてキスしたよッ!」
布団をかぶって
ユッキに背中をむける。
「そうか。
これからなんだ!」
ユッキがマクラで
私のアタマをバンバン叩く。
「ジュンイチさん
モテそうだからね〜」
しっかり見張っとけと
何度も釘を刺された。
ヒトの心配が出来るようなら
大丈夫かな。
ユッキの寝顔に安心する。
でも
私はユッキが思っているような
清純なオンナノコではない。
ジュンニイが
他のオンナのヒトとも
カンケイを持っていたとしても
私にはジュンニイを
責める権利はない。
だからといって
ジュンニイに
全てを話す勇気もなく…。
誰にも話せない。
誰にも相談できない。
自業自得とは
よくいったモノだ。