「まさか
あんなホノボノしたヒトがって
ちょっとショックだったよ」
「そりゃ、男だもん。
外見で判断したら気の毒だよ」
ジュンニイは
ユッキの彼氏の味方をした。
気がつけば
私はジュンニイには
何でも
話すようになっていて。
ジュンニイには
いちいち口止めしなくても
ちゃんと対処してくれるって
信頼感がある。
私はいつしか
自分の感じたコトが
常識的であるかを
ジュンニイの反応で
確認するように
なっていた。
「ジュンニイの周りには
綺麗なオンナのヒト
いっぱいいるんだよね?」
「ヒメが思ってるみたいに
派手な業界じゃないよ」
運転しながら
無愛想に答える。
今日のジュンニイは
どこかテンションが低めだ。
「現場の工事の
ごついオヤジばっかだし」
「オトコのヒトも好きとか?」
ウケを狙ってみただけなのに
「心配?」
マジに返されて
「…別に」
見事にスベった。
ジュンニイの口に
チョコを突っ込もうとして
「あ、もういらない」
チョコ好きのジュンニイに
拒否された。
…やっぱりいつもと
どこか違う。
もしかして私
また何かヤラカシテ
しまったのだろうか。
アタマの中で
エピソードを紐解いて
検証してみる。
思いあたるコトが多すぎて
どんどん不安になってきた。
袋の中のチョコが
不安と反比例して
どんどん
どんどん
減っていく。
「このマンションだよ」
ジュンニイが
建設中のマンションの
反対側の道路に車を停める。
「来月の完成予定。
買っちゃった」