…買っちゃったって
「このマンションを!?」
車の窓から思わず
身を乗り出して
見てしまった。
「ここなら
ヒメの進学する大学の
キャンパスにも
アクセスがいいし」
それって…。
「これが外観の完成予想図で
こっちが部屋の見取り図」
3LDKって
一人暮らしには広すぎで。
「ヒメ専用の
クローゼットルームも」
って。
「鍵できたらスグ渡すから」
まさか…
「お掃除しに来いとか?」
「住むんだよ。いっしょに」
「!!!!!!!!!」
その強引な展開に
コトバもでない。
ジュンニイの腕を掴んで
ぱくぱく泡を吹いてる私を
軽く受け流して
「じゃ、インテリアでも
見立てに行きますか」
ジュンニイが車を発進させた。
あの
それって
同棲しようって話だよね。
私達ってまだ
そこまでカンケイが
進んでないような
気がするんだけれど。
アタマがパニックを
起こし始めていて
正常に機能しない。
「チョコばっかり食ってたら
ニキビできるぞ」
「…いいもんッ」
私の意見も聞こうともせずに
どんどん自分のペースで
進めていくジュンニイに
とりあえずスネてみた。
チョコをつまんでいる
私の手を掴まえて
ジュンニイが自分の口に
チョコを入れさせる。
「さっきチョコは
もういらないって…!」
「ヒメは肌が
キレイなんだから
もっと大事にしなくちゃ」
そう言って
意味ありげに手の甲で
私のアゴを撫でてきた。
「…スケベ」
自分で言っておいて
自分で赤面する。
「ふふん」
ジュンニイはまたしても
軽く受け流して
カーステレオから
流れてくる音楽を
口ずさみ始めた。
…機嫌は
悪くはないようだけど。
「……」
またしても
ジュンニイの顔色を窺っている
自分に気づいて
落ち込んだ。