ホントに?
『彼』の絵なの?
こんなトコロで出逢うなんて。
…カラダが震える。
「この少年画家の絵は
ナマでは見たコトがないし。
何とも言えないですね」
え?
…今
ジュンニイは
「少年画家」だって言った。
ど、どうしてジュンニイが
『彼』のコト知ってるの
!!!!!!!!!?
不安と疑問が
アタマの中を支配する。
『彼』って有名だから?
それとも面識がある
…とか?
ジュンニイの様子を
そっと横目でチェックした。
「あ、ヒメの同級生
なんだっけ」
「何で知ってるのッ!?」
思わず大声を出してしまって
ジュンニイが真顔になる。
失言、失態だ。
私ってば
自分から白状してどうする!!
「…妹の部屋に
切り抜きとか貼ってあるから」
え?
「同級生の成功が
嬉しかったみたい」
…ジュンジュンが?
ウソだ。
だってそんな素振り…。
ジュンジュンが自分から
『彼』を話題にしたコトなんて
一度もなかったし。
興味を持っていたなんて
信じられない。
そうだよ!
テレビの取材のときだって
ユッキの悪口に
加担してたじゃないか。
一生懸命
記憶を辿ってみても
ジュンジュンと『彼』を
繋げるモノなんて
思いつかない。
「……」
嫌な予感に
カラダがさらに凍りつく。
だけど
『彼』のコトは
誰にも
絶対に知られるワケには
いかない…!
悟られまいと
私は必死で平静を装った。