新居の前で
私と『彼』の母親を
降ろして
ジュンニイは
布団と写真を取りに
そのまま
車で実家にむかう。
このマンションに
入るのは初めてだ。
ジュンニイに
教えて貰った通りに
セキュリティーを解除する。
「こんなのあるんですね」
お母さんが
いちいち驚いてみせた。
モデルルームみたいな
部屋に足がすくむ。
ジュンニイってお金持ち?
それともすごい浪費家???
全部借金だったりして。
「カーペット汚しそうで
怖いです」
お母さんの発言に
すかさず同意だ。
ふたりでフローリングの
端っこに座る。
目が合って
「貧乏性なんです」
笑い合った。
何か初めて
親しみを感じる。
だけど
「『彼』は
あんなに豪華な部屋に
暮らしているのに」
私のツッコミに
お母さんが顔色を変えた。
失礼なコト
言っちゃったかな。
「『彼』の同級生なんです」
何とか話を繋げてみる。
「…あの子は
そんなに派手な生活を
しているんですか?」
「え、そんなコトは…」
ある、けど。
言えない。
よね〜。
「あの子のコトは
何も知らないんですよ」
お母さんは溜息を
ひとつついて
『彼』の話をぽつぽつと
話し始めた。