「この頃ね。

私の職業のコトで
この子は
ずいぶんイジメられていて」

ジュンジュンが
『彼』を庇っていたという。


「お嫁さんになるんだって
口癖でしたよ」


ジュンジュンの初恋。

小学生のときの
同い年のオトコノコ。


「他のオンナノコに夢中で」

振りむいて貰えなかったという


…『彼』が

そのオトコノコ…?


「それが原因で
『彼』は家出を?」

ずっと黙っていた
ジュンニイが

いきなり核心に
切り込んでいく。


「どうしてそれを?」


親族がアメリカに『彼』を
連れて行こうと
家に押しかけてきて

「子供心に
見つからなければ大丈夫だと
考えたんでしょうね」

半日、廃墟の中に
隠れていたという。


「でも、あなたは
『彼』を手放された」

「……」


「そんなに
慕われていた母親が
未だにこんな状態で

『彼』に対して
恥ずかしくは
ないんですか?」


ジュンニイは容赦なかった。


「妹がちいさいとき

毎日違うオトコのヒトが
恋人だと家にくるのは
どういうコトなんだと

聞かれたコトがありましてね」

「……」


「あなたの話
だったんですね?」

「……」


「今も同じ仕事を?」

「……」


ジュンニイが尋問する。


本当に『彼』のコトが
大事というなら


「オトコとは手を切って
生活も変えるべきです」


ジュンニイが
私の言いたいコトを

全部言った。