「話はこれくらいにして
食べましょう!」
その場を取り繕うように
ジュンニイが
食事の準備を始めた。
ケータイのテレビをつけて
年越しの雰囲気を味わう。
不思議な顔合わせ
だったけれど
お腹がいっぱいに
なってきたら
なんとなく
その場も和んできた。
と思ったら
「こんな行事らしいコトすら
してやった覚えがなくて…」
突然、感極まった母親は
私達相手に懺悔を始める。
「…どう大事にしていいか
わからなかった」
どう愛していいか
わからなかった。
おおきくなるにつれ
父親にどんどん似てくる息子。
オトコといっしょにいる
自分を見る
息子の目。
「まるであのヒトに
責められているようで」
大好きなヒトだったから
この子を産んだのに
「苦しかった…」
部屋にお母さんの
すすり泣きが響いてる。
「…妹もそういうのに
敏感なもんでね」
自分の身の上を
『彼』に重ねていたのかな、と
ジュンニイがつぶやいた。
「ウチも母子家庭
みたいなモンだったし」
ほとんど家にいて
やれなかったから
淋しい気持ちが
共有できたんだろう、と。
「今のオヤジは
優しいいいヒトだけど」
その前と、前の父親は
最悪だった。
「妹には悪いけどね」
ジュンニイの本音だった。