そう言って
キングサイズのベッドを
イチオシしてくる店員の
デリカシーのなさも
相当だと思ったけど


「彼女といつも
くっついて
いたいから」


店員に答える
ジュンニイもジュンニイだ。


「もお!
恥ずかしいんだからッ!!」

ジャケットの襟を
引っ張って

ジュンニイを他のフロアに
引きずっていく。

エスカレーターの傍に
人垣が出きていて

「何の騒ぎだ?」

前進を阻まれる。


「ジュン!」

人垣の中から
この間の支配人が
声をかけてきた。


「新聞、テレビ
見てくれたんだ!」


新聞?
テレビ???


「新聞って?」

ジュンニイが
支配人に聞き返す。


「何だ。見たから
来たんじゃないのか」


人垣の中心には
例の『彼』の絵が
展示してあって

ガラスケースの中

その絵はハダカのまま

裏面までも
衆人の目にさらされていた。


ここに集まった
ギャラリーの大半は

新聞やテレビの報道で
この絵を観に集まったという。


「この絵、オークションに
かけるコトになったから」


支配人は興奮を
隠しきれない様子で

今朝の新聞を
私達に見せる。

そこには

視力障害の文字と

最後の絵画作品と
いうコトバが

踊っていて。


視力障害って…。


『彼』が…?