食べ散らかした後を
片付ける。
何かしてないと
『彼』のコトばかり
考えてしまいそうだ。
ジュンニイの手によって
何気なく
まとめられてあったゴミ。
きちっとフチが
揃えてあって
何かインテリアの一部に
見えるから不思議だ。
その反面
蛇口周りは水浸しのまま
だったりするから
神経質なタイプでは
ないみたいだけど。
要はセンス
なんだろうなあ。
お盆の上に洗った器を
いろんな風に重ねてみた。
ちょっと右寄りに
意識してみたり。
1対2の比率にしてみたり。
「なかなかカッコよくは
キマらないもんだなあ」
ケータイのメールが鳴る。
ユッキからの
《ハッピーニューイヤー》
今年も
フライングメールだ。
ユッキからの
メールを皮切りに
メールがどんどん入り出す。
「みんなセッカチだなあ」
送信者をチェックしていく。
「ジュンジュンは
ちゃんとくれるかな…」
年賀状ちゃんと
出しといたけど
「おめでとうメールも
送っておこうかな」
文字を打つ音が
部屋に小さく響く。
何にもない部屋。
静かだなあ。
かすかに除夜の鐘らしき音が
漏れて聞こえてきた。
「もうそんな時間か」
除夜の鐘。
108つの煩悩を
消し去ってくれるという。
「……」
煩悩だらけの1年だった。
「来年こそは
いい年にしたいけど」
ジュンジュンへの
おめでとうメールを
送信できずにいる自分に
また
落ち込んだ。