聞きなれた
エンジン音が響く。

ジュンニイが帰ってきた!!


車のコトはわからないけど
ジュンニイの
車の音だけはわかる。


「おっそ〜い!」

ジュンニイの顔を見たら
ホッとした。

「はい、お土産」

ジュンニイがケーキの箱を
私のアタマの上に乗せる。


ジュンニイが
コンビニの袋の
中のモノを広げていく。

フォークに


ろうそく???


しかもこのケーキ

「食べかけ!?」

見事にホールケーキが
半分しかない。


手作りの
ケーキっぽいけど。


「『彼』の母親は

帰るよう
言ってくれたんだけど」

気になって
車を警察署の前に停めて
様子を窺っていたら

「職務質問してきた
おまわりさんが

1月1日が誕生日ならって
持たせてくれたんだ」


食べきれなかった
差し入れの残りを
貰ったのだという。


「…ジュンニイ。
誕生日だったんだ」


「まだ3分ある!」

ジュンニイはご機嫌で
紙皿を並べている。


「ほら。
セッティング手伝ってよ」

「あ、うん」


ジュンジュン
教えてくれなかった。

ジュンニイは箱を潰して
ケーキをキレイに
盛り付けなおす。


「ハーフムーンみたいで
結構いいだろ?」


…いつもの
ジュンジュンなら
事前に教えてくれて

あーしたら
こーしたらって

アドバイスしてくれてたよね。


「ヒメは5月か。
まだ先だな」

「知ってるの!?」
「妹に教えて貰った」

うん。


そういうコだ。

そういうコなのに…。


残酷な現実に泣けてきた。


「こら。何泣いてんの!」

「…ごめんなさい」