トラブルに巻き込まれるのは
目に見えている。
それでも
そこに傷だらけで
ちいさくなっている
『彼』の母親を見ていたら
声をかけずには
いられなかった。
「大丈夫ですか?」
ジュンニイとふたりで
『彼』の母親の身を起こす。
あちこちに
火傷や内出血の痕が覗いて
ドメスティック
バイオレンス。
DVだ…。
ジュンニイと目が合った。
ますます
放っておくワケにはいかない。
私は
相撲取りのキーホルダーを
ジュンニイに見せて。
「…わかったよ」
ジュンニイも
しぶしぶ
新居で母親を保護するコトを
了承してくれた。
『彼』のお母さんを
車に乗せて新居に向かう。
ジュンニイは
めずらしく黙ったまま
運転手に徹している。
不機嫌そのもの。
いつものフレンドリーさは
どこにもない。
かくいう私も
何を話しかけたらいいのか
わからなかった。
ジュンニイが
コンビニの駐車場に
車を入れる。
車の中に
『彼』の母親を残して
ジュンニイと
コンビニで買い物だ。