存在
近所のちいさな神社。
マイナーかと思ってたら
ケッコー賑わっていて
迷子にならないように
ジュンニイが私の手を
しっかりと握っている。
「ヒメともっと懇意に
なれますように」
ジュンニイが派手に
柏手を響かせた。
周りの参拝客も
笑ってるよ〜。
「ひとつ歳をとったんだから
落ち着きましょう!」
私のツッコミに嬉しそうだ。
生きていると辛いコトも
あるけれど
このヒトの傍にいるだけで
しあわせな気持ちになれる。
寒空に描く息さえも
ハート型に見えてくるから
不思議だ。
「何だ?
この、人だかり」
ふたりして足止めされて。
「……」
何だか人垣を見ると
インテリアショップでの
騒ぎを思い出す。
ジュンニイが私の手を
しっかり握り直した。
人垣の間から見えたのは
有名な若手俳優さんで
「テレビの撮影だって!」
思わずミーハーな声を
あげてしまう。
「あんな俳優の
どこがいいんだ?」
私の目を
ジュンニイの手が覆った。
「イジワル〜!!」
「ヒメは俺だけ
見てればいいの!」
私の背中を押して歩き出す
ジュンニイの横顔が
…マジだった。
くすっ。
「何だよ!」
「だって。
ジュンニイったら」
俳優にヤキモチ焼くなんて。
「ヒメはかわいいから
ケッコー心配」
思わぬジュンニイの発言に
耳まで真っ赤になる。
…完璧に
彼氏の欲目でしょ〜。
「ヒメは他のオトコに
簡単になびくような
オンナじゃないって
信じてるけどさ」