《メールできなくてゴメン》
送信者は隣りにいる
ジュンジュンだった。
「また車酔いするから
メールはやめとけよ。
電源切っときなさい」
メールに見入っていた私を
ジュンニイが心配する。
私は送受信音を消した。
ジュンニイに
わからないように
ジュンジュンに返信する。
《どうして
教えてくれなかったの?》
ソッコーで返事がきた。
《その質問は
私がヒメに返したいくらい。
何でこんなカンケイに
なっちゃってたワケ?
どうして堂々と
付き合わなかったの?
私が『彼』のコト
好きだって気づいてたとか?
つき合ってたなんて知ってたら
アニキを
薦めたりしなかったよ》
絵文字もなく
聞きたいコト
言いたいコトだけ
凄くストレートで。
メールを打とうとしたのに
「ごめんなさい…」
思わず声が漏れた。
「いや、別に
メールくらい、な。
怒ってないからな」
ジュンニイが
自分に言われたと勘違いして
慌ててる。
「アニキ、危ないから
前見て
集中して運転してよ!」
ジュンジュンが後ろから
ジュンニイのアタマを小突く。
そして
溜息をついたと思ったら
シートに深く座り直して
私の返事を待たずに
ジュンジュンは
またメールを送信してきた。