「ヨウコソ。コンチハ。
マタ逢エテ嬉シ〜ネ」
カタコトの日本語で
握手を求めてくる。
「…ナイスツーミーツー」
怪しげな英語で
恐る恐る握手した。
「現役高校生の英語だ」
ジュンニイが
からかってくる。
何も知らない
ジュンニイはノンキでいい。
ジュンジュンは
検査の結果
異常はなかったらしく
「ただの
脳震盪だったみたい」
ひと安心だ。
今、診察が終わって
こちらに
むかっているという。
「いったい妹は
ここで何のバイトを
しているんですか?」
「作品創りのお手伝いを
して貰ってるのよ」
そう言って
モニター画面を
こちらにむけた。
「これって…」
ジュンニイが
コトバを無くしたのは
当然で。
そこには作品を創る
『彼』の姿が
映し出されていた。
「手伝いって
まさかモデルとか?」
ジュンニイの
妙なジェスチャーに
ミスターと秘書さんが
目を見合わせて苦笑する。
「ジュナはね。
『彼』の右腕で
目の代わりなの」
『彼』の絵を
凄く勉強していて
ミスターは
「ジュンの妹なら頷ける」
みたいなコトを
言っているようだった。
こんなコトなら
英語のヒアリングの授業
もっと真面目に
受けておくんだった。
「今日も
倒れそうになった作品を
身を呈して助けてくれて」
モニターにその作品が
映し出される。