「ぐるり一周して
観るコトは出来ますか?」

ジュンニイが身を乗り出す。


…嫌だ。


「彼氏に裸体くらい見せても
かまわないわよね〜」

私の気持ちを
読んだかのように

秘書さんが私に
意味ありげに話しかけてきた。

「ヒメ、あくまで
これは芸術鑑賞で!

ほら、変な意味で
見たいって言ってんじゃ
ないから!!」


ジュンニイがアセっている。


「……」

ミスターが
私の反応を窺っていて。


やっぱり

そうなんだ。


ヒザが震える。


この裸像のモデルは
私なんだ。


しかも第三者が見ても

ひと目で私だとわかるくらい
そっくりな…。


「ちょっとだけなら
いいだろ?」

いいワケない!!!


「じゃ、正面からね」


ひ…ッ


「ヤだ…ッ!!!!!」

もう立ってられなかった。


「ヒメ!?」

崩れ落ちて座り込む私を
ジュンニイが
心配して覗き込んでくる。


嫌だ。
見ないで。


声が出ない。


「…やめといた方が
いいと思うよ」


その声にハッとした。

なじみのある

でも
冷たい声だった。



「ジュナ、おまえ
大丈夫なのか?」


…ジュンジュン

戻ってきたんだ。


でも
顔を上げられない。