「親戚の人が
買いたくなるような
値打ちがあるんだ、って」
「ヒメ、アンタ凄いよ〜」
ジュンジュンが
呆れてる。
我ながら
もっと言いようが
あったのではないかと思う。
いくら小学生で
悪気がなかったとしても、だ。
「ウチのママなんて
家出するって言っても
そんな悪い子
誰も貰ってくれないわよって
よく怒ってるもん」
「…ウチのはね。
そんなんじゃないの。
あのババアは
いっつもオトコに
しがみついてて
俺のコトなんか
眼中にないんだ。
俺なんか
邪魔なんだよ!」
哀しくて悔しくて
眠れない夜が
続いたと
そのオトコノコは訴えた。
「そんなコト
何が哀しいの?」
『彼』がそのコトバに
反応したのを覚えている。
「そんなコト
何が哀しいの…か」
私のコトバを復唱して
『彼』は笑った。
「その気持ちわかるって
同情してくれる人間は
たくさんいたけど
そんなコト
何が哀しいの?って
言われたのは
初めてだ」
その後
『彼』が
急にやさしくなって。
寒くないかとか
1つしかないチョコを
分けてくれたりとか
「その態度の豹変に
戸惑ったのを覚えてる」
「…ふ〜ん。
だから『彼』は
ヒメのコト
好きになったんだ」