高校生になって
『彼』と再会したとき
お互いに
名字が変わってたけど
「私はすぐに『彼』だと
わかったのにさ。
『彼』は全く私のコトを
思い出そうともして
くれなかったんだよ」
ジュンジュンが
昔話を始める。
「それどころか
思いっきり
迷惑だって顔をされて」
昔のコトを知ってる人間が
うっとおしかったのかも
しれないと
ジュンジュンは分析した。
「『彼』とよく似た境遇で
育ったから
誰よりも『彼』の気持ちが
理解できる」
だからこそ
「『彼』には自分が必要で
自分にも『彼』が必要だった」
でも
「『彼』の視線の先には
いつもヒメがいて」
それでも
「ヒメに彼氏ができれば
『彼』の目も
自分にむいてくれるのでは」
なんて
期待して
ジュンニイと私を
再会させたと白状した。
でも
『彼』は夏休みが明けても
学校に戻ってこなくって
「『彼』の情報を
集めまくった」
秋になって
画壇の情報誌に
『彼』のスタッフを
募集していると知って
「試験を受けたんだけど」
『彼』は
ジュンジュンの名前を
覚えてさえいなくて
クラスが同じだったと言っても
興味すら
示してくれなかったのだと。
「顔を見れば
ヒメといつもツルんでるコだと
気づいてくれたかも
しれないけど…」
『彼』の傍で
スタッフとして
一生懸命つくして
「名前を覚えて
貰えるようになって
凄く嬉しかった」
『彼』の目が
見えなくなったコトに
ちょっぴり感謝したりして
「最低だよね」
ジュンジュンが
自嘲気味に笑う。