「ねえ、さっきの誰?」
声を出すワケには
いかない。
「ジュナが連れてきたの?」
「……」
困った。
でも
何かさっきから
ジュナ、ジュナって。
…私のコトは
名前で
呼んでくれたコトなんて
なかったのに。
「……」
私は無言を決め込んだ。
足の爪がキレイに
整えられている。
透明のマニキュア。
プロがやって
いるんだろうか。
「…Who are you」
「!!」
お前は誰だと言われて
思わず『彼』の足から
手を放してしまった。
立ち上がって
逃げようとする私を
『彼』の腕が制止する。
「痛ッ!」
思わず声をあげてしまった。
「…ウソ、だろ?」
『彼』の手が
私の顔に触れて
「ホントに…?」
そして
後ろから力いっぱい
抱きしめられた。
「あ…ッ」
『彼』の手が
私のコートの中を
まさぐってゆく。
その指はゆっくりと
私の肩や
胸をなぞっていった。
なつかしい感覚。
『彼』の唇が
私の耳に触れる。