そのくせ
英会話教室や絵画教室
体操教室なんか
通わせたり

ブランドモノの
洋服を着せて

私はいい母親なんですって
世間にアピールして。


「私はあのヒトが
本当に許せなかった」


『彼』を手放した後
少しは後悔して
変わってるかと思ったら


「相変わらずオトコに
だらしないときてる…」


ジュンジュンは吐き捨てた。


「でもね」


それでも

「あのヒトはただ

不器用な愛情表現しか
できないヒトなんだって。


愛されてる実感が
愛してる実感が
持てなくて

あがいていた
だけなんだって」


自分がヒトを
愛するようになって


「少しはその淋しさが
理解できるように
なってきたから」


ジュンジュンは
私の目を見る。


「……」

私はここで
そんなジュンジュンの
気持ちに
考えに

同意すべきで。

応えてあげるべきなのだろう。

でも

やっぱり
どんな理由があろうと

関わるのは嫌だった。


「ヒメなら面識もあって
警戒されないだろうし。

だから…ね?」


「……」

「だから…!」


ジュンジュンが
私の煮え切らない態度に

どんどん苛立っていくのが
わかった。


無理を承知のお願い程
断られたくないモノだ。

拒絶されたら
プライドだって
ズタズタになる。


「きっとまた今日も
観に行っていると思うんだ」


でも

どんなに頼まれたって

ジュンニイに内緒で
『彼』に関わるなんて。


過去は塗り替えられなくても

せめて今は誠実でいたい。