「あんな状態の
『彼』を放っておいて
自分は彼氏と、ね」


「……」

「もっとも

あんな駄作を創らせ続ける
オンナなんて

ろくでもないとは
思ってたけどね」


「……」

…このオトコは
何が言いたいんだろう。


「ヒメ〜!
タクシー来たよ〜!」

ジュンジュンが
遠くから手招きしている。


「…早く『彼』が目覚めて

アンタなんかじゃなく
創るべき作品を創って
欲しいもんだよ」


私に反論させる暇も
与えずに

そう吐き捨てて
オトコは消えていった。


悔しかった。


別に私が『彼』を
見捨てたワケじゃない。

私が『彼』に
見限られたのだ。


まるで私が
たぶらかして
『彼』をダメにしている
みたいに…。


悔しくて
涙が止まらなかった。


「ごめん、先に帰る!」

お母さんと
ジュンジュンを
残して

私はリムジンバスに
飛び乗った。


バスの中で
ケータイの着信音が鳴る。


《何時くらいになりそう?》

ジュンニイからのメール。

《ごめん。行けなくなった》


絵文字を入れる余裕もなく
返信したのに


《明日とんかつ楽しみに
してるからな〜!!!》

明るいトーンで
何も知らないジュンニイの
返事が返ってきた。


ごめん。

ジュンニイ。


私、やっぱり
来なければよかった。

来ては
いけなかったんだよね。


雨が

バカな私を乗せた
リムジンバスを

横殴りした。






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