だから
「…『彼』にとって
迷惑なだけなんじゃ
ないのかな」
私は論点を
すりかえようとした。
のに
「そんなコト
絶対ありえない…!」
ジュンジュンが
私の顔をしげしげと見つめて
「だって。
ヒメは『彼』のお母さんに
面ざしがよく似てるんだもん」
なんて。
似てる?
私が?
『彼』のお母さんと?
「雰囲気は全然違うけど
ひとつひとつの
顔のパーツとか
肌感とか」
…自分では全然
そんな風には思えないけれど。
「だから
『彼』がお母さんのコトを
憎んでいるのなら
ヒメのコトなんか
絶対に好きになったりしない」
「……」
確かに
どうして私なんかを
『彼』は思い詰める程
好きで居続けられたのか
不思議ではあったけど。
ジュンジュンの中では
そういう風に理解され
整理されているんだ。
だけど
どこか腑に落ちない。
「だったら
ちょっとついてきてよ」
ジュンジュンは
私の手を引っ張った。
「『彼』がどんな風に
ヒメのコトを
好きになっていったのか
思い出させてあげるから」