…そんな風に
思っていたんだ。
私を抱きながら
『彼』は私の心が
そこにはないって
やっぱり知ってたんだ。
知っていて…。
改めて
自分の残忍さに
気づかされる。
「お母さんが来てたコトも
『彼』に話したの」
『彼』はちょっと
驚いた様子だったと言う。
また逢わせたいと頼んだら
時間がないからと
拒絶された…と。
「…私のしたコトは
余計なコトだったのかな。
お母さんにも過度な期待
させちゃってさ」
『彼』の理解者でありたいと
胸を張っていたジュンジュンは
もうどこにもいなかった。
「私の独り相撲に
巻き込じゃって悪かったね」
そうつぶやいた
ジュンジュンの肩を
私は抱きしめずには
いられなかった。
何を言っても
慰めにはならないって
わかっている。
でも
「なるようになるから…」
気づけば
何度も何度も
呪文のように
同じコトバを繰り返して
一緒に泣いていた。
「なるようになるから…」
それは親友への
エールでもあり
自分への
エールでもあった。