クローゼットの中を
物色する。
「これ着て帰ってもいい?」
「ダメ」
ジュンニイに
取り上げられた。
「上から下まで俺の服
着て帰ったりしたら
ヒメパパが
卒倒しちゃうだろ」
ジュンニイが
私を後ろから
抱きしめてきた。
「泊まってけば?」
「え…」
「大丈夫、何もしないから」
「……」
「それとも、何かしたい?」
「……」
「冗談だよ」
私の耳元でささやいた。
「残念だけど
明日の朝までに書類
作らないといけないから」
そう言って
私に腰を押しつけてきて
「期待に応えられそうにない」
笑わせる。
ジュンニイが
私の家に電話をして
「お父さんが出てアセったよ」
ちゃんと正直に話したら
よろしくと言われて
びっくりしたと言う。
「着替え持って
迎えに行きますって
言うのかと思ったのに」
私のが、びっくりだ。
「でも
そういう態度とられたら
かえって手が出せないけどね」
ジュンニイが苦笑する。
「次のデートまで
体力温存だ!」
そう叫んで
ジュンニイは
書類の山の前に座って
仕事を始める。
真面目な横顔に
ちょっと見とれてしまった。
どちらかっていうと
女顔なんだけど
ヒゲがかなり
伸びてきていて
結構ワイルドな面構えに
見える。
ぐうううううう。
お腹が鳴った。
そう言えば
まだ夕食も食べてなかったな。
ぐうううう。
あれ?
私じゃない?
冷蔵庫を開けてみる。
昨日ここを出たときから
何も変化がなくて
ごみ箱も空のままだった。
もしかしてジュンニイ
「何も食べてない?」