あの彫刻作品は
「高い技術と情熱を
嫌と言うほど感じられる
素晴らしいモノだけど」
でも
「『彼』のコレクター達が
欲しがるかと言ったら
即答はできない」
ミスター達も
元々最初から個展でも
彫刻をお披露目するつもりは
なかったという。
『彼』の価値を下げる
可能性のある作品を
世間の目にさらすコトは
できない、と。
「あくまで実験的な制作で
最終的に
どんなモノになるかも
まだ見えてきていないって
いうのに…!」
創りかけの作品を
不当評価されるなんてと
ジュンジュンは
苛立ってみせた。
だったら何で
「再会のシーンまで
流さなきゃ
ならなかったの?」
最低のオンナだって
思い知らせてやろうとか
思ったワケ?
「目が見えなく
なっているってコトを
悲劇的に
演出したかったみたい」
もう
「意味、わかんない…」
『彼』の才能や可能性が
世間から
どう評価されようが
知ったコトじゃない。
私の大切なジュンニイを
傷つけて。
みんなからの信頼も
きっと私は
何もかも
なくしてしまったに
違いなかった。
「…もう学校だって
行けなくなっちゃう」