「クラスの誰かが
ヒメだって気づいて

二股だって
面白がってウワサを流して
回ったみたいね」


「ウソ…」

私がジュンニイと
つき合ってるのは

クラスのみんなが
知っていた。


私の左手の薬指には
ステディーリングが
光ってる。


校則違反の指輪も

シンプルな
ステディーリングは

先生も見て見ぬフリを
してくれていて

公認のカンケイ
だったから。


クラスのみんなにとっても
あのテレビは
青天の霹靂だったろう。


教室でも接点が
ほとんど皆無なふたりが

学校の外で
ふたりっきりで


彼氏がいるハズの私が
上半身ハダカの『彼』に
抱きしめられて。


「『彼』に
あんな作品創らせてりゃ
勘繰りたくもなるよ」


ユッキの
言う通りだった。


「電話もメールも
したんだけどな!」


「ごめん…」

「ごめんって
どういう意味?」

顔も口調も冷静だけど

メガネ越しのユッキの瞳が
凄く恐かった。


「くすくす」


野次馬が
こっちを見ている。

ひとり、またひとり
ギャラリーが増えていく。


まるで見世物だ。


「モデルなんてしてるの
どうして教えて
くれなかったのよ」

「それは…」


口ごもるしかなくて。


「ジュンイチさんは
知ってたの?」


「ちょっと、ユッキ
ここじゃ
みんなの目があるから」


ジュンジュンの
フォローに

ユッキが
過剰反応する。


「ジュンジュン
アンタもよ!

いつから知ってたのッ!?」