恐々、机の中から
手を出した瞬間

「きったね〜ッ!!」

男子が大騒ぎした。

ジュンジュンが
私の手に気がついて

私を教室から
連れ出そうする。


「待てよ!」

男子のひとりが
ジュンジュンの
スカートを引っ張った。


ばき!


凄い音とともに
ジュンジュンの回し蹴りが
男子の顔面に直撃して。


「あ、ごめんなさい。

スカートに何か
ひっかかったかと思って」


ジュンジュンが

ニッコリ笑う。


世の中には
もっと酷い
破廉恥なコトをしてる
オンナノコはたくさんいる。

世の中の
良識やらルールから
ほんのちょっと
はみ出してしまっただけで

ここまで
しっぺ返しされないと
いけないモノなのか。


バレなきゃOK。
目立ったら負け。

正直モノは馬鹿をみる。


第三者は気楽でいい。

よってたかって
弱っているモノを
踏みつける。

何も知らないくせに
カンケイないくせに

裁く権利なんて
いったいどこに
あるっていうのか。


顔の見えないヒトからの
悪意は理不尽すぎる。


世の中の仕組みに
吐き気がした。


「はい、カバン。
ヒメのも持ってきたよ」

渡り廊下で
手を洗っていた私に

ジュンジュンが
声をかけてきた。


カバン…。


「中は大丈夫だったよ。
安心して」


私の気持ちを
見透かすように
ジュンジュンが言った。