わかるよ。

わかったから
予感がしたから

出たくなかったのに。


「…ジュナに
この番号教えて貰ったんだ」


ケータイのむこうの『彼』は
気まずそうに
言い訳してみせる。


どうして私は
電話を切らずに
いるんだろう。


しかも私はケータイを

無意識に
耳に当ててしまっていて。



私は『彼』に関わると

自分をなくさずには
いられないんだろうか。


学習しない自分に
呆れるばかりだった。


それでも

「何の用?」

『彼』の前で
ツッパッてみせる自分がいる。


だけど


「大丈夫?」

『彼』の思いがけない
思いやりのひと言に

簡単にそのプロテクトを
外された。


「…テレビのコトなら平気。

気にする程の
コトじゃないから」


強がってみせても


「声が震えてるよ」


『彼』には通用しなかった。


「俺にできるコトないか?」


どうして

「ジュナのアニキ
なんだってな」


今更

「俺から話そうか?」
「…冗談はやめて!」


どうして
私を気遣ってみせたりするの?


そんなキャラじゃ
なかったじゃない。


だいたい誰のせいで
こんなコトになってると
思ってるんだ!


苛立ちや不安で

私は混乱していた。