靴箱をそっと開ける。

中に入れてあった靴を
ふたりで念入りに調べて

「大丈夫みたい」

胸を撫でおろす。


いつまでこんな風に
見えない悪意に
怯えなくてはいけないのか。


ユッキの靴箱が
目に入ってきた。


「普段、冷静で賢くて
オトナなヒト程

一度理性をなくすと
歯止めが利かない…」


ジュンジュンが
溜息まじりにつぶやく。


それはジュンニイで
嫌という程
思い知らされていた。


「けど。
それだけ大きな信頼を
貰っていたという証だよね」


ジュンジュンが
ユッキの靴箱を突っついた。

ぱらぱらと
雨が降ってきて。


「傘持ってきてないの?

じゃ、相合傘して帰ろっか」


ジュンジュンが
傘を差し出してきた。


休み時間を
知らせるチャイムが鳴る。


すれ違う生徒から
視線を
投げかけられる度


ジュンジュンが
傘を目深にして

私の視界を遮ってくれた。

「早退したのはいいけれど」

行くアテがない。


「どっかで傘、調達しなきゃ」

どこにも行けない。


「ウチで時間つぶさない?」

「え…」


答えを戸惑わせる
親友からの誘いだった。


「大丈夫、誰もいないから」


くしくも
ジュンジュンは

ジュンニイと同じセリフを
言った。






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