もちろん
一番悪いのは私だ。

意思の弱い私に
他ならない。


そんなのはわかってる。


でも

誰かに責任転嫁せずには
いられなかった。


「雨の音がする」


『彼』がふいに
話題を変えてきた。


窓の外を見たら

さらさらと細い雨が
葉っぱをゆらしている。



真っ暗な部屋から見る景色。

自然と耳を
澄ませてしまう。


「ホテルの窓は分厚いから

雨音なんて
聞こえないんじゃ」


「そうだね」


「テラスの傍にいるの?」

「まあね」


「相変わらずホテルの中に
引きこもってるんだ」

「そういうコトだ」


「外とか出たりするコト
あるの?」

「ないね」


「そんなトコに
引きこもってるから

私のコトしか
考えられなくなるのよ」

「うん」


「外はまだ寒いけど

そのぶん空気が透明で
凄くキレイなんだから」

「へえ」


気がつくと
私の方がしゃべってて


「……」

私はおしゃべりな
自分の口を止める。


「逢いたい」


『彼』の声が沈黙を破った。


耳を疑った。

そしてココロが揺れるのが
自分でもわかった。


でも

「逢えるワケない」