新入りくんの車で
家にむかった。


すれ違う車達の
ヘッドライトの光が
流れてる。

まるで涙のように見えて
切なさに
胸が締めつけられた。


「こんなに遅くなって
家のヒト心配してるんじゃ
ないっスか〜?」


新入りくんが運転席から
後部座席の私にむかって
話しかけてくる。


「ゲロりそうになったら
早めに言って
くださいっスね〜」

気を遣ってくれてるのは
わかったけれど


もう涙腺が
ゆるみっぱなしで

まともな会話が
出来る自信なんて
なかった。

「ちょっとだけ
眠ってもいいですか?」


漠然とした不安が
私におおきく
圧しかかってくる。


「…余計なお世話だと
言われたらそれまで
なんっスけど〜」


若干とはいえ
年上のオトコのヒトに
敬語で話しかけられると

ちょっと
どこかこそばゆい。


「恋人でもないオトコの車に
ふたりっきりで乗っといて

寝るなんて無防備なコト
しない方がいいっスよ」


私は思わず身を正した。


「信用されてるのか
オトコとして
見られてないのか
わかんないっスけど〜。

やっぱ
危ないと思うんスよね〜」


「…はい」


「あんまり社長を
心配させないで
やって欲しいっス」

「…はい」

「いや。わかって貰えれば
それでいいんっスけど」


金髪のツンツンヘアした
新入りさんに説教されて
しまった…。