「運転、気をつけなきゃ」
新入りくんは自分に
プレッシャーをかける。
「そおっと行きますんで〜」
…わかりやすいヒトだ。
後ろ姿に緊張感が
漂ってきて
何だかこっちまで力が入る。
「もうちょっと先に
たぶん自販機あるんで〜」
新入りくんなりに
気配りも一応
忘れないようで
自販機はすぐに見つかった。
「飲み物、何がいいっスか?」
車から出ながら
新入りくんが
私の好みを聞いてくる。
「何でも。
好き嫌いないです」
年上のオトコのヒトに
失礼かと思いつつも
自分の分の小銭を渡した。
「ヒト任せは
よくないっスよ〜」
頼まれた方は
どこか試さてる気がして
自販機の前でひと悩み。
「で、結局
変なの選んで
自己嫌悪〜っての
ばっかっスよ〜」
オンナノコは
ムズカシイからと
ぼやきながら
歩いていった。
右手には
私からすんなり
受け取った小銭。
アタマには
私からの「水」のリクエスト。
無遠慮なヤツ。
だけど
ジュンニイが
かわいがっているの
わかる気がした。
「ありがとうございます」
「いやあ、いいんスよ〜」
素直に照れている。