「さっきの話の続きっスけど」
新入りくんは車を出しながら
マジなトーンで切り出した。
「オトコが
気持ちを整理したいと
言ってるのは
許したいって叫んでるのと
いっしょなんっスよね」
別れたいと
そこまで
怒っているのなら
その場で結論を
出しているモノだ、と。
「ましてや
ケンカの原因が
相手にあった場合
こっちから
連絡するなんて
物凄い屈辱感っすよ」
…確かに
その通りだった。
ジュンジュンのときだって
連絡を取るのに
勇気がいった。
あのときだって
お互いが逃げなかったから
解決できたんだ。
「ヒメちゃん家
確か図書館がある
通り沿いっスよね」
黙り込んでいた私に
新入りくんが
道順を確認してきた。
「俺、あの辺
土地勘あるんっスよね〜」
隣町に実家があるらしい。
「合格祈願で
ちょっと有名な神社が
あるんっスけど。
知ってっかなあ」
新入りくんが
口にしたその神社。
ユッキのマンションの
すぐ近くにある…。
「実家にコメ取りに
行かなきゃって
思ってたトコだったから
ちょうどよかったっス」