ジュンニイは
私を隣りに座らせ直して

「ヒメには負ける」

私の肩に
もたれかかってきた。


「そうだよな。俺
何にこだわっていたんだろう」

ジュンニイが
私の左手を自分の右手に
しっかりと絡める。

「こだわって
大事なモノを
失うトコロだった」


これじゃ
本末転倒だよなと

ジュンニイは
自嘲気味に笑ってみせた。



でも、それは

私がジュンニイを
愛しているとは思えないと

ジュンニイは
言っているワケで。


哀しいくらいの誤解だった。



伝わらない、気持ち。

伝わってない、私の愛。


どう表現すれば
伝わるのだろう。


どう伝えれば
わかってくれるのだろうか。


「キスしてもいい?」

そんなコト
聞かないで欲しかった。


私の両頬を
おおきな
あたたかい手が包む。


まぶたを閉じたら

新しい涙がひとしずく

こぼれた。


ジュンニイの唇が
私の唇に
そっと重なってきて

遠慮がちな短いキス。


オデコとオデコを
くっつけて

指と指を絡めて


お互い相手の気持ちを
探り合っている。


「ジュンニイ…」

そう漏らした私の唇を
ジュンニイは
そっと親指で撫でた。


その行為に
引き寄せられるように

今度は私から
ジュンニイの唇に
近づいていく。


その瞬間

「あら、お邪魔だった?」


その声に振り返ると

知らないオンナノヒトが
立って、いた。