「あ、もしかして
ヒメちゃん。

私とジュンのコト
誤解した〜とか?」


マユコさんが
いたずらっぽく
私の顔を覗き込んでくる。


マユコさんは
私のアタマを
くしゃくしゃにして

「神にかけてありえないから
安心しなさい!」

また大声で笑った。


「ジュンはね。
高校時代の弁論部の
ひとつ後輩で

私のダンナとは
大学時代からの
悪友なのよ」


学生時代からの…。


「アイツの嫌なトコ
み〜んな見てきたから」

「嫌な…トコ?」


マユコさんは
意味深に笑って

「オ、ン、ナ、カ、ン、ケ、イ」

私にそう耳打ちする。


え。

え…っと。
それって…。


顔が引きつる。


「マユコさ〜ん。
紙の書類は
これで全部だったっけ?」

むこうの部屋から
ジュンニイの声が
聞こえてきた。


「な〜んて!
ま、むか〜しの話よ」


そう言って
私のアタマを
またくしゃくしゃにする。


完全に子ども扱いだった。


「ヒメちゃん。
ココにある残りも
適当に詰めといてくれる?」


馬鹿にされないように
慎重に丁寧に梱包する。

キャリーバックを
引きずらないように
玄関に運んで。


玄関には
ひとまわりちいさな
キャリーバックが
すでに幅を取っていて。


「マユコさんも
いっしょの出張なんだ」


そ〜なんだ。

ふ〜ん。


リビングでは
マユコさんがジュンニイと
データの確認をしていて。

パソコンをふたりで
覗き込んでいるその姿。

仲良くくっついていて


何だか凄いシットした。