「まずウワサを流した
犯人だけど」
そんな私の不安を無視して
ユッキが作戦を話し始める。
「ココロ当たりがあるの?」
「ないッ!!」
力強く言い切ったユッキに
ジュンジュンとふたり
脱力した。
「だけど
ウワサ好きの人間なら
絞られてくるよね。
悪気もなく
コレ知ってる〜?ってコ」
ユッキが
クラスのウワサ好きの
女子の名前を数名あげる。
「でも証拠もないし。
そこから特定するなんて」
無理だ…。
「特定する必要なんてない」
ユッキの目がマジになった。
「今回のヒメの一件だけじゃ
ないよ。
ネットやメールなんかを使って
無責任なウワサを
匿名で流すようなヤツは
この際、みんなまとめて
鉄槌を下す!」
ユッキが
正義感に燃えている…。
「ヒメに対して
馬鹿なコトをしたヤツらにだけ
仕置きをしても
それじゃ単なる
報復合戦だもん。
また第2、第3の
ヒメが出ちゃう」
何だかとても
逆境とは思えない程
策士しているユッキは
イキイキして見える。
「便乗犯してる男子も
何とか出来るワケ?」
ジュンジュンは慎重だった。
「火の元さえ
完全鎮火させちゃえば
腐れ木なんか
何本生えてたって
火事にはなんないわよ」
わかるような
わからないような。
「アンタ達、何様!?」って
言われても
しかたないような
理屈ではあったけど
それでも
今の私には頼もしい
親友達だった。
だけど
ユッキが凡人とは違う
頭脳を持っている
エキセントリックな人間だと
嫌でも実感させられる
コトになろうとは
私もジュンジュンも
このとき
想像すらつかなかった。