朝、約束の時間より
早く駅に行くと
ユッキもジュンジュンも
もうすでに来ていて。
「ごめん!」
受験前のユッキに
風邪でもひかせたら
悔やんでも悔やみきれない。
「入試まで
2週間切ったんだっけ」
「そ〜だね〜。
ま、大丈夫っしょ」
ユッキが笑った。
単語帳も参考書も持たずに
電車移動しているのは
ユッキなりの
美学なのだそうだ。
「勉強は決められた場所で
集中してやる。
それがコツ、かな」
「ま、運動も同じコト
言えるもんなあ。
だらだらやるより
いかに集中してやれたかが
大事だもんね」
ジュンジュンが同意する。
う〜ん。
今頃、勉強のコツを
教えられても。
せめて学年末考査の前に
教えて欲しかった。
ジュンニイとの毎日に
うつつを抜かしてて
この間の試験
全然ダメだったからなあ。
「ヒメ、アンタ
何、溜息なんか
ついてんのよ!」
ユッキに小突かれ
みんなで笑った。
3人でいると
もういつもの日常が
戻ってきているかのような
錯覚に陥ってしまう。
こんなコトで
これから待ち受けて
いるであろう現実と
私はちゃんと
むかい合えるんだろうか。
電車の窓から
学校が見えてきた。